※感想はネタバレを含みますのでご注意ください。
Netflix ドント・ルック・アップ
Don't Look Up
2021年
レオナルド・ディカプリオ
ジェニファー・ローレンス
ケイト・ブランシェット
ロブ・モーガン
メリル・ストリープ
ジョナ・ヒル
ティモシー・シャラメ
アリアナ・グランデ
タイラー・ペリー
ロン・パールマン
マーク・ライランス
あらすじ
ミシガン州立大学の天文学博士課程に在籍するケイト・ディビアスキーは、すばる望遠鏡での観測により、木星軌道の内側、太陽から 4.6 au の距離にあるこれまで知られていなかった彗星を発見した。彼女の教授であるランドール・ミンディ博士は、この彗星は約6ヶ月後に地球に衝突し、惑星全体の絶滅を引き起こすのに十分な大きさであると計算し、NASAもこれを確認した。NASAの惑星防衛調整室長テディ・オグルソープ博士の案内で、ディビアスキーとミンディはホワイトハウスに調査結果を提出するが、ジャニー・オーリアン大統領とその息子で首席補佐官のジェイソンは無関心であった。
感想・評価
長い。前半では地球に衝突するかもしれない彗星を発見した博士と生徒がNASAに報告した上で大統領に会いに行くが、端的に言うと「そんな話はよくあること」として可能性を否定する。そんなことより関心は自身のスキャンダル。もちろん映画だからこそ極端に描いてはいるが、まぁ観るに堪えない。加えて、オグルソープ博士はニュースをメディアにリークするよう勧めるも、メディアでの立ち回り方という業界の常識的なもので地球滅亡の可能性を薄めて伝えてしまう。これは現実にも通ずるものがあり、科学的根拠があるにもかかわらず陰謀論的な根本に触れない姿勢が観ていられない。人によってはこの辺りで観るのをやめてしまうかもしれない。しかし事態が一転して大統領が地球を救った功績のために宇宙船を飛ばす。映画はこの辺りからおもしろくなってくる。結局のところ、実際に地球滅亡の可能性が出てきたときってこんな感じだろうねという風刺系の映画になってるが、地球滅亡系の映画の大半はギリギリセーフでなんとかなるもの。しかしこの映画は実際に滅亡してしまう。それは彗星に含まれるレアアースなどの貴重財源のためにせっかく飛ばした宇宙船を引き返させたこと。代わりに彗星を上手に砕き、太平洋に破片を落として回収しようという作戦に出る。その作戦を大統領に提案するのがイチ企業のCEOピーター。ジェフ・ベゾスやラリー・ペイジを模写したようなキャラクターだ。当初の戦略ではいけなくもないような作戦だったものが、だんだんと否定的な科学者が出てくるとそのたびにクビにしてしまう。大統領の作戦を中止させた上に自身の会社で行う爆破作戦は失敗できない上に、失敗すると思っていない。そんな中彗星は実在しないとすら世論が広まってしまう。タイトルの「Don't Look Up(空を見るな)」は、彗星なんてないよと大統領が市民に信じさせるための戦略ワードとなる。これは彗星を目視で見えるまでに近づいている状況に気づいたケイト、ランドール博士が「Just Look Up(空を見て)」と彗星衝突が現実であることを世間に訴えかけたことへの反論である。結局、誰でも確認できるほどに彗星が近づいたことで大統領支持派も現実に気づいてしまう。おそらく、実際に起こったら同じようなことが起こるだろう。ただ映画そのものがアメリカ・ファーストすぎるのも少し違和感がある。彗星発見はなぜアメリカしかできないのか。アメリカ映画によるあるものだが、大統領が世界のリーダーのように動く作品は昔から多い。そこすら風刺しているのかもしれない。庶民である立場の人間がこのような現実を突きつけられたとき、どう動けばいいのか。映画でも結局、反論勢がたくさん集まったところで結局大統領が主導し、失敗したらピーターと共に地球を脱出してしまう。これすら現実なのかもしれない。地球滅亡はひとつのたとえだと考えると、庶民と政府、SNSでの声のあげ方、内容は何であれ誰でも共感できる部分がある映画かもしれない。アリアナ・グランデが歌うシーンはすべての癒しのひとときになる。
★★★★★★★★☆☆