※感想はネタバレを含みますのでご注意ください。
オッペンハイマー
Oppenheimer
2023年
キリアン・マーフィー
エミリー・ブラント
マット・デイモン
ロバート・ダウニー・Jr.
フローレンス・ピュー
ジョシュ・ハートネット
ケイシー・アフレック
ラミ・マレック
ケネス・ブラナー
あらすじ
第2次世界大戦中、才能にあふれた物理学者のロバート・オッペンハイマーは、核開発を急ぐ米政府のマンハッタン計画において、原爆開発プロジェクトの委員長に任命される。しかし、実験で原爆の威力を目の当たりにし、さらにはそれが実戦で投下され、恐るべき大量破壊兵器を生み出したことに衝撃を受けたオッペンハイマーは、戦後、さらなる威力をもった水素爆弾の開発に反対するようになる。
感想・評価
まずこの映画を解釈するときに、原爆の映画かどうかという点。ここは正直オッペンハイマーを取り上げる以上はもっと深掘りしろよという声があるのは仕方がない。ただ個人的にはロバート・オッペンハイマーの伝記映画であることが軸である以上は、原爆投下にどこまで触れるのかというのはとても興味はあった。いざ観てみると、映画のピークはそこではなかった。ストローズの公聴会を軸にして過去を掘り下げるスタイルをとったのはそのせいなのではないだろうか。実はロバート・オッペンハイマーが主人公でありながら、映画を終始回しているのはルイス・ストローズなのだと思う。しかもロバート・ダウニー・Jr.を起用して、主人公を食いまくっている。つまり、「ルイス・ストローズの復讐劇に振り回されるロバート・オッペンハイマー」という構図だからこそ、原爆投下を掘り下げなくてもセーフラインに到達しているような作りになっているように思える。その上で映画としての完成度は恐ろしいほどいい。キャスティングも恐ろしいほどいい。ただやはり、素直に高評価にできないのは日本人だからなのか。映画に落ち度はほとんどない。事実に問題があるだけで。わずかに感じる落ち度は、時系列を複雑にし過ぎたのではないかという点、フローレンス・ピューがヌードになる必要はあったのかという点。後年のメイクに無理がある演者がいると感じてしまった点。長すぎるという点。これらはあくまで個人的な視点だが、それぞれに意味があるのはわかるが、もう少しなんとかできたのではないだろうかと思う。映画だけで言えば9つ星。ただやはり少しここから落ちるかな。
★★★★★☆☆☆☆☆